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不妊治療と仕事の両立が難しいと言われる理由について

不妊治療と仕事を両立したいと思われている方に向けて、両立が難しいと言われる理由について詳しく解説します。

不妊治療を始めようとしている方、始めた方であれば、「仕事との両立が難しい」との話を耳にしたことがあるのではないでしょうか?不妊治療と仕事を両立させている方はたくさんいらっしゃいます。ただ職場の協力などがなければ、難しい状況になるのも事実でしょう。

そこで今回の記事では、なぜ不妊治療は仕事と両立しにくいのか、理由について解説していきます。治療中の方の中には「仕事を急に休まなければならずストレスを感じる」「迷惑をかけているのではないか…」。そのように悩んでいる方も少なくありません。不妊治療と仕事を両立したいと考えている方は、ぜひ記事を参考にしながらご自身にとってベストな選択をしてください。

一般的な不妊治療の流れ

一般的な不妊治療は次のような流れで行われます。初診から検査を経て、治療が進んでいくまでのスケジュールをおおまかに確認しましょう。

【治療の流れ】

  1. 診察・内診・感染症検査
  2. スクリーニング検査
  3. 治療:一般不妊治療(子宮内で卵子と精子が受精しやすいように支援する方法)
  4. 治療:高度生殖医療(卵子と精子を採取して体外受精させて子宮に戻す方法)

診察や内診、感染症検査などを行ったら、スクリーニング検査により不妊の原因を調べます。もし検査により不妊の原因がわかれば、原因にあわせて治療を実施するのが基本です。

不妊治療の方法はさまざまですが、多くの場合で患者さんのスケジュールや生活にあわせて治療方法が選択されます。最初はタイミング法や人工授精などの一般不妊治療を実施。一般不妊治療で効果が見られない場合は、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療へと進みます。一例として体外受精の治療の流れも見てみましょう。

【体外受精の流れ】

  1. 月経開始から2~3日目に採血と超音波検査
  2. 約1週間後に再び採血と超音波検査
  3. その後の通院スケジュールは状況により変わる

体外受精での治療の流れは、状況により変わります。月経開始から1週間後の採血や超音波検査は、おおよそスケジュール通りに行われるはずです。しかしその後の通院は、採卵に適していると思われる日程で突然決まります。

治療法は人や状況、病院により変わりますが、一般的には以上のような流れで不妊治療が進められていきます。

不妊治療と仕事を両立する人の割合はどれくらい?


不妊治療と仕事を両立する人の割合は、厚生労働省の調査によると53.2%と報告されました。調査対象となったのは265名です。また仕事を続けているものの、「両立できず雇用形態を変えた」と答えた人も7.9%いました。両立している人の中に含めると、61.1%の人が仕事を続けながら不妊治療を受けていることになります。

出典:厚生労働省:(PDF)不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック

調査対象となった人は、内訳を見ると女性の人数がわずかに多かったようです。しかし「両立している」と答えた人の半数以上は女性でした[1]。

不妊治療では頻繁に病院に通わなくては行けなくなりがちです。しかし厚生労働省の調査結果を見てみると、仕事を続けながら不妊治療を続けている方はとても多いことがわかります。

仕事で忙しくパートナーとのタイミングが合わない場合や、治療にかかる費用面などで不妊治療を迷われている方に注目されているのが、シリンジ法です。
シリンジ法での妊娠成功率を上げるための方法とメリット・デメリット」の記事では、シリンジ法の成功率とメリット・デメリット、実践する際のポイントなどについてご紹介しております。ぜひご覧ください。

不妊治療と仕事の両立が難しいといわれている理由


「不妊治療と仕事の両立は難しい」と言われることは少なくありません。しかし実際には、両立している方も多くいらっしゃいます。それではなぜ、不妊治療と仕事の両立は難しいと言われるようになったのでしょうか?

理由1:通院回数が多く診療時間が長いから

不妊治療では治療内容により、通院回数が多くなりがちです。タイミング法など一般不妊治療ではそれほど多くならないでしょう。しかし体外受精や顕微授精を受けるようになると通院するだけでも大変になる上に、診療時間も長くなっていきます。

たとえば胚移植の場合は1回の治療で2時間ほど、凍結胚移植の場合は2~3時間ほどかかることも珍しくありません。男性の場合は通院回数が少なく、診療時間も短い傾向ですが、女性の場合は通院自体が負担になることがあります。そのため勤務と通院の日程調整がしにくく、仕事と不妊治療の両立が難しく感じられがちです。

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理由2:急に仕事を休まなければならないから

不妊治療を続けていると、急に仕事を休まなければならなくなることがあります。仕事をしている方にとって、仕事を急に休まなくてはならないとことは苦痛ではないでしょうか。「迷惑をかけてしまった…」「大切な仕事をやり遂げられなかった…」と罪悪感を抱く人もいるはずです。

不妊治療では治療のスケジュールが立てにくいことから、急に仕事を休まなければならないこともあります。そのため仕事との両立が難しいと考える方も多いのです。

理由3:精神・体調・体力の負担が大きいから

不妊治療と仕事の両立が難しいとされているのは、精神面・体調面・体力面のいずれにも負担が大きいことも理由のひとつです。

「体外受精をしたのに妊娠できなかった…」「いつまで治療が続くの…?」とのことで、精神面での負担が大きくなりがちな不妊治療。さらに薬による体調不良が起きたり、検査や採卵による体力の負担が大きく感じられたりすることもあります。

日々を元気に過ごすためには、精神・体調ともに健康で、体力が充実していることが大切です。心と体への負担が大きくなりがちな不妊治療では、仕事をするための余力が残されない方も多いのでしょう。

急に仕事を休まなくてはいけない理由

それでは次に、なぜ仕事を急に休まなければならなくなるのか、2つの理由について見ていきましょう。

理由1:成熟した卵子を採取する必要があるから

不妊治療では成熟して卵胞から出る瞬間の卵子を採取しなければならないため、通院日の予定が立てにくいものです。不妊治療は他の診療科の通院とは違い、排卵日により通院スケジュールが変わります。そのため排卵から卵子の成熟具合により、仕事を休まなくてはならなくなることもあるでしょう。

最初に体外受精のスケジュールで解説した通り、通院は排卵や卵子の成長具合により決められます。そのため事前に「◯日にまた来てください」ということは難しいのが事実です。生理や排卵日は予測できます。しかし「絶対に◯日に生理になる」「◯日に卵子が成熟する」と言い切るのは難しいでしょう。

そのため結果的に、通院のため急に仕事を休まなければならなくなることがあります。治療を第一に考えてくれる勤務先であれば別でしょうが、一般的には不妊治療と仕事の両立が難しく感じられるのです。

理由2:採血や超音波検査にて卵子の成熟を確認するため

卵子の成熟具合を確認するには、採血や超音波検査が必要です。そのため検査を受けた日に卵子が成熟していなかった場合は、近々に再検査が必要となるため急な休みが必要となります。

ひとつ前の項目で、不妊治療では成熟した卵子を採取することが重要だと解説しました。しかし卵子の成熟具合は、採血や超音波検査などをしなくてはわからないので、通院して検査を受けます。

正確に排卵日を予測できないうえに、排卵された卵子の成熟具合をこまめに確認しなければならないのです。卵子が成熟するタイミングを逃さないためには、「明日」「明後日」などの急な通院も必要となるでしょう。

頻繁な通院が必要な理由

不妊治療で頻繁な通院が必要となる理由は、月経から排卵日までに集中して検査や手術が行われるためです。治療法により通院回数は変わりますが、排卵日周辺に通院回数が多くなることは比較的共通しています。

たとえば体外受精であれば、次のような通院スケジュールとなるでしょう。

【スケジュール】

  1. 月経開始から排卵誘発剤を使用する
  2. 月経開始から2~4日後に採血・超音波検査を行う
  3. 月経開始から8~11日後にホルモン採血・超音波検査を行う
  4. 排卵日に卵子を採取する
  5. 精子と卵子を専用の容器にて受精させる
  6. 受精卵を子宮の中に戻す
  7. 内服薬や注射にて黄体ホルモンの補充をする
  8. 受精卵を戻してから2週間後に尿検査・血液検査を行う

上記でご紹介した体外受精による治療内容は、おおよそ1か月以内に行われるものです。受精させる段階は病院側が行ってくれますが、その他の段階においては通院が必要となります。

不妊治療では排卵や卵子の成熟具合を確認するために、こまめにさまざまな検査を行わなければなりません。もちろん採卵や受精卵の移植なども日程を変えて行う治療です。また場合によっては、黄体ホルモンの補充など、妊娠しやすい状況にするための治療も必要でしょう。

不妊治療では1回の通院ですべてを終わらせることはできません。そのため自然と頻繁な通院が必要となり、不妊治療は仕事と両立しにくいと感じられる方が多くなります。

 

下記の記事では食生活や生活習慣など身近なところから、体外受精の成功率を上げる方法をご紹介しています。どなたでもすぐに実践していただける内容ですので、あわせてぜひご覧ください。

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不妊治療と仕事の両立は難しくとも可能

いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、不妊治療と仕事を両立する難しさがご理解いただけたと思います。

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[1]参照:厚生労働省:(PDF)不妊治療と仕事の両立について